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かしわで
本島修司氏の最新刊。
今回も、歯切れのいい文章でぐいぐいと魅き込む。
15年の11月に出た「洞察力」のときも書いたけれど、本書も同様に迷いがなく、鋭利だ。
もちろん自分は無駄の多い人間だから、自分のことを言われてる気になって、ときに胸が締めつけられるようなときもある。遠くから矢で急所を射抜かれたような感覚に襲われることもある。それでも、本島氏の文章を読んでしまうのは、本質を追求する姿勢が明確でブレがないからだろう。だから読んでいて、痛みはあっても恨みはない。最後は痛快に感じるほどだ。
今回も、セオリーにこだわる筆者が、無駄を省いて,本質を剥き出しにして、競馬に勝つためのセオリーを解説してくれている(剥き出しと書くと筆者からオブラートに包んでいると抗議されそうだけど、ここは“あえて”剥き出しと書かせてもらう)。
1章 合理主義競馬とは?
2章 現代の騎手事情に段を下す
3章 優れたセオリーで競馬に勝つ
4章 JRA G1全24レースの絶対セオリー
特別章 合理視点で一口馬主に対峙する
競馬に勝つための「必然」を馬の資質、走り、騎手、種牡馬、騎手、レース、外厩、騎手…といった様々視点から追求し、「必然の好走馬と強い騎手を炙りだし、自分の見抜けている馬だけを買う」ことに迫っている。
本島氏のファンなら、これだけでワクワクしてくるだろう。
本島流騎乗評価ノートでは、本島氏独自の視点で騎手(日本で騎乗したことのある外国人騎手含む)の評価が語られている。
手厳しい評価をされてる騎手もいる。自分が思っているより低い評価の騎手もいる。逆に思っているより高い評価の騎手もいる。けど、書かれていることは納得できることばかりだ。だから面白いし、馬券を買う時の参考になる。
ちなみに騎手評価で自分が一番驚いたのはある外国人騎手の高評価。もちろん、ムーアやモレイラといった誰もが上手いとわかる騎手のことではない。でも自分はけっこう気にしていた騎手だから、その評価を知って、驚いたし、参考になった(どの騎手のことかは本を読めばわかるはず)。
4章のG1レースの絶対セオリーは、日本のG1レースのセオリーを個別に解説している。1レースに3、4つ。シンプルっちゃーシンプルだけど、ここにも無駄がない。だからアプローチに困ったとき、考えすぎて迷ったとき、乱れに乱れて整理がつかなくなったときにも使える。
別章(3章)だけど、凱旋門賞のセオリーにも言及している。
前回もかいたけれど、本島氏はレースをよく見ている、VTRで何度も観察している。地道なフィールドワークあっての本質追究だ。
それがわかるから、合理が合理としてリアルに理解できるのだろう。